このページの本文へ移動

町長所信表明

  • 印刷する

 

 私は、10月20日に執行されました隠岐の島町長選挙におきまして、多くの皆様の力強いご支持と、温かいご支援を賜り、三度、町政を担わせていただくこととなりました。
今、この場に立ち、その重責に、改めて身の引き締まる思いであります。
 

 私は、就任一期目から、一貫して「隠岐の島が好きだから」との想いを、新しいまちづくりによせ、「『3つの良かった』が響くまち 隠岐の島」の実現を目標に、様々な施策を実施してまいりました。
3期目の町政運営にあたりましては、更に多くの「『良かった』が響くまち」の実現を目標に、あらゆる政治判断を行ってまいりたいと考えているところであります。
 誰もが胸を張って「隠岐の島が好きだから」と言える町の実現を目指し、町の歩むべき道を定め、10年、20年先を見越したまちづくりを行わなければなりません。既成概念や慣例にとらわれることなく、ありとあらゆる角度から施策の検証と検討を進めてまいります。また、限られた財源を有効に活用し、必要な施策には、十分に予算を配分するなど、次世代へつなげるための大胆な施策を展開してまいる所存であります。

 

本町の最重要課題は、人口減少問題であります。多くの「良かった」が響けば、必ずやこの問題は、解決の方向に進むと確信しております。
それでは、「3つの良かった」が響くまちの実現に向け、新たに与えていただきました4年間におきまして、私が取り組む施策について、ご説明申し上げます。

 

まず、1点目は、「生まれて良かった」の実現に向けた取組についてであります。
本町が抱える大きな課題のひとつに、少子化問題があります。その要因として、若い世代の人口減少や、将来に見通しが持てない現在の社会情勢が考えられます。
この問題の解決には、この町に住む私たちが、問題意識をしっかりと共有し、地域社会全体で子供を育てる新しい仕組みづくりが必要であると考えております。
そのためには、結婚、妊娠、出産、子育て、そして教育といった各ステージに応じた、きめ細やかな支援の充実に努めなくてはなりません。また、本町の宝である子供たちが、郷土を愛し、この町の将来に希望を持つことが、50年先、100年先まで、この町を存続させる大きな力になると考えております。
まず、子育てしやすい環境づくりとして、妊娠、出産、子育てにより、不安定な雇用形態を余儀なくされる女性、そして子育て中の男性に対する休暇制度の創設や、育児休業を取得しやすい職場づくりについて、企業の皆様と手を携え取り組んでまいります。また、子育てに対する相談や支援を更に充実させるため、こども家庭センターを設置いたします。あわせまして、保育事業の実施、子育て支援センターの運営、そして子育て世帯への経済的負担の軽減にも、引き続き取り組んでまいります。

 

次に、魅力ある教育環境づくりについての取組です。
魅力ある教育環境づくりには、学校・家庭・地域がその目標を共有し、協働することが必要不可欠であります。
この島で永く育まれた独自の文化や芸能、恵まれた自然環境などの資源を活用し、幼いころから隠岐の島を知ってもらうために、ふるさと教育を推進してまいります。
このことが、「隠岐びとの心」を育むことにつながり、ふるさとに帰ってくる人、他の地域からふるさとを応援する人、どこにいてもふるさとの情報を発信してくれる人など、本町を支える人材のネットワークの創出につながると考えております。
また、子供たちが、豊かな創造性を備え、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことを目的に、国のGIGAスクール構想に沿ったICTの活用にも、積極的に力を注いでまいります。

 

次に、2点目の「住んで良かった」の実現に向けた取組についてであります。
「住んで良かった」と感じていただくためには、誰もが住み慣れた地域で、日々安心して暮らせる町の構築が必要であります。
そのためには、医療・介護・福祉の充実、防災・減災への取組、にぎわいと活力の創出、そして自然環境の保全など、多岐にわたる取組が必要です。
まず、医療体制の確保として、令和6年度より、限られた医療資源を効率的かつ継続的に提供するため、隠岐病院と町立診療所の運営を隠岐広域連合に一元化いたしました。引き続き、島根県の強力な支援を頂きながら、現状の医療体制を維持できるよう取り組んでまいります。また、医療スタッフの育成という観点からは、町内の県立高校、県内の大学等と連携し、継続した取組を行ってまいります。
そして、福祉環境の充実を目指すべく、介護、福祉の分野におきましても、安定的にサービスが提供できるよう、人材確保への支援や、介護保険制度の充実を求める活動を行ってまいります。
また、高齢者をはじめ、介護や医療が必要な方々への生活支援として、買い物困難者対策にも取り組んでまいります。

 

次に、防災・減災についての取組です。
地域防災力の向上に向け、「隠岐の島町地域防災計画」の周知徹底を図り、防災・減災体制の強化を図ってまいります。
個々の防災への意識は高まりつつありますが、自主防災組織の設立など、地域での取組には格差が生じています。災害時の対策として、自助、共助、公助の役割を明確にし、今後、どの地域におきましても、有事の際に共助の役割が発揮できるよう、要配慮者支援を含
めた地域活動への支援、防災研修会の開催、地域リーダーの育成などを実施し、安心、安全な町づくりを目指してまいります。
また、離島である本町におきまして、空港及び港湾は、救援物資の輸送や避難体制の確保に極めて重要な役割を担っています。緊急輸送道路に指定されている県道や町道にあわせ、これらの機能が十分に発揮できるよう、早期の整備に向けて取り組んでまいります。あわせまして、有事の際に住民の皆様の命を守る、緊急避難道路につきましても順次整備を進めてまいります。

 

次に、にぎわいの創出についての取組です。
まず、西郷港周辺地域の整備につきましては、官民一体となって議論を深め、「まち」と「みなと」の魅力向上と、特色のあるエリアとして地域が活性化するよう、順次事業を進めてまいります。
一方で、本事業の推進につきましては、国及び島根県の支援、そして、大きな予算の確保が必要となります。町民の皆様と議論することはもとより、国や島根県に対しましても精力的に意見交換や要望活動を行い、早期実現を目指し、重点的に取り組んでまいります。
また、西郷港周辺地域のみならず、各支所及び出張所管内におきましても、地域の独自性を発揮した、にぎわいのある地域づくりを目指してまいります。

 

次に、活力の創出についての取組です。
本町の特色ある既存産業の振興を通じ、雇用の安定化を目指し、地域の活力を創出してまいります。
特に、第一次産業の再生を目指し、町内産農林水産物の高付加価値化を推進し、その魅力を町内外に発信してまいります。あわせまして、町自体のブランド力を高めることで、特産品としての知名度を向上させるとともに、若者や企業にとって、魅力ある産業となるよう取り組んでまいります。
農業につきましては、関係機関との連携により、新たな振興作物の開発や、農地の荒廃を防止する対策を講じ、畜産業では、牧野を再整備するなど、低コスト生産に向けた取組を行います。
林業につきましては、林地所有者や林業関係者の皆様と協議を進め、意欲のある林業経営体に林地を集約化することで、林業の成長と適切な森林管理に努めてまいります。
水産業につきましては、関係機関との連携により、磯根資源の回復に向けた漁場の整備や、沿岸漁業者への支援、並びに漁業施設の整備に努めるなど、漁業者の皆様が安心して操業できる環境づくりを進めてまいります。
商工業につきましては、創業や事業拡大など、地域経済を支える事業者の方々への支援に取り組んでまいります。
また、すべての産業におきまして、慢性的な人材不足に対応するため、UIターンを促進させるとともに、「特定地域づくり事業」等を活用し、人材の確保につなげてまいります。

 

次に、脱炭素社会への取組についてであります。
改正離島振興法に、離島の責務として「多様な再生可能エネルギーの導入及び活用」が明記されました。また、本町におきましては、令和5年12月にゼロカーボンシティ宣言を表明したところであります。
本町が有する豊かな森林資源を活用した、木質バイオマス発電の推進や、太陽光発電システムの導入など、脱炭素社会に向けたまちづくりを推進してまいります。

 

次に、3点目の「訪れて良かった」の実現に向けた取組についてであります。
「訪れて良かった」と感じていただくことが、リピーターを生み、ファンを増やし、ひいては町民の皆様の生活に潤いをもたらすものと考えております。
この度の新型コロナウィルス感染症の発生により、観光関連事業者の皆様は、大きな打撃を受けました。
このような状況下にありましても、本町の事業者の皆様には、国や島根県、そして町単独の支援制度などをご活用いただき、事業継続はもちろんのこと、雇用の確保にも積極的に取り組んでいただいたところであります。観光関連事業者の皆様の努力に報いるべく、一刻も早くコロナ禍前の水準を取り戻し、更に高みを目指す取組が必要であります。
まず、離島交通の充実として、本町が有する港湾と空港を最大限に活用し、交流人口の拡大を目指してまいります。航路につきましては、老朽化した船舶を更新するとともに、航空路につきましても、既存路線の複便化やチャーター便の運航を目指し、快適で安全な移動手段を提供してまいります。
また、2次交通の充実として、路線バス等の公共交通機関を活用した観光ルートの開発を検討してまいります。

 

次に、魅力ある観光地づくりについてであります。
言うまでもなく、本町は大山隠岐国立公園、隠岐ユネスコ世界ジオパークとして、自然、歴史、文化、芸能など、十分すぎるアイテムを兼ね備えております。また、全国に誇れる特産品も数多くあり、これらを最大の武器である、人との交流と関連付け、交流人口の拡大を目指してまいります。また、新たな取組として、雨天時にも楽しめる、五箇創生館への本格的な上映設備の導入や、誰もが活用できる音楽館、そして温泉が利用できる宿泊施設の整備について検討を進めてまいります。
これらの取組につきましては、本町との関わりが深い、航空業界やアウトドア関連企業、そして本町と親交のある自治体とも更に連携を強化し、活動を展開してまいります。

 

最後に竹島領土権確立への取組についてであります。
国におきましては、内閣官房領土・主権対策企画調整室が中心となり、国民への啓発や国際社会への情報発信などを行っていただいております。また、島根県におきましても、第5期の竹島問題研究会を設置していただき、より積極的な活動を展開していただているところでありますが、残念ながら問題の解決の糸口さえ見えない状況にあります。
本町におきましては、問題解決に向け一歩でも前進するよう、独自に竹島の調査研究を進め、貴重な資料の保存活用に積極的に取り組んでまいります。あわせまして、本町から全国に向け、竹島問題を啓発する取組を行ってまいります。
また、国の責務において、「竹島漁撈歴史記念館(仮称)の建設」、「暫定水域における漁業秩序の確立」、そして「隠岐島周辺の海域における海上警備体制の充実」を実現するよう、強く訴えてまいります。

 

以上、私の町政運営に関する基本的な考え方を述べさせていただきました。
地方創生の再起動が叫ばれる中、本町の最上位計画である「第2次隠岐の島町総合振興計画」を柱に、人口減少に歯止めをかけるべく、様々な戦略を、スピード感を持って実践してまいる所存であります。
これらの施策の実施にあたりましては、町民の皆様のご理解のもと、国や島根県、近隣の自治体、関係機関、関係団体、そして、町内外の事業者の皆様と十分に連携を図り、「チーム隠岐の島」を合言葉に、職員一丸となって取り組むことをお約束いたします。
 

また、先般開催いたしました、「第15回隠岐古典相撲大会」で感じることができました、島が持つポテンシャルを十分に引き出し、まちづくりに活かしていく所存であります。
改めまして、課せられた重責を厳粛に受け止め、国や島根県との連携が図られてきた今、公約の実現に向け、全身全霊取り組んでまいりますので、議会並びに関係機関の皆様、そして町民の皆様方の、より一層のご指導とご鞭撻を心からお願い申し上げ、就任にあたりましての所信表明とさせていただきます。
 

令和6年12月5日

隠岐の島町長 池田高世偉


このページに関するお問い合わせ
隠岐の島町役場 総務課 広報広聴係
TEL:08512-2-8572
FAX:08512-2-6005
MAIL:kouhou@town.okinoshima.shimane.jp