○隠岐の島町中小企業・小規模企業振興基本条例
平成29年3月24日
条例第16号
(前文)
町内事業所の大多数を占める中小企業・小規模企業は、これまで、町の経済を根底から支え、その発展に寄与するとともに、雇用やにぎわいを創出し、町民生活の安定及び向上に重要な役割を果たしてきた。
しかしながら、深刻な人口減少、少子高齢化及び事業者間競争の激化等に伴い、事業活動を取り巻く環境は大きく変化し、厳しくなっている。
そのような中で、誰もが安心して暮らせ、「将来にわたり住み続けたい」と実感できるまちづくりを進めていくためには、中小企業・小規模企業の成長と持続的な発展が不可欠であり、町、事業者、地域経済団体等及び町民が、連携・協働して中小企業・小規模企業の振興に向けた取り組みを進めていくことが重要である。
よってここに、町、事業者、地域経済団体等及び町民の役割とあり方について明らかにし、中小企業・小規模企業の振興と活力と魅力ある町の実現を目指すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業・小規模企業が本町における経済の発展に果たす役割の重要性に鑑み、その振興に関し、町の責務、事業者、地域経済団体等及び町民の役割等を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の基本となる事項等を定めることにより、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって中小企業・小規模企業の成長及び持続的発展並びに地域経済の活性化を図り、町民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者とは、中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する事業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 小規模企業者とは、中小企業基本法第2条第5項に規定する事業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 大企業者とは、中小企業者・小規模企業者以外の事業者(金融機関を除く。)であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(4) 地域経済団体等とは、商工会、銀行その他金融機関、協同組合、その他経済活動の発展に寄与する団体及びこれらに準ずる団体であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(基本理念)
第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業者・小規模企業者による自らの創意工夫及び自主的な努力を尊重しつつ推進されなければならない。
2 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業が地域の経済及び雇用を支える担い手として重要な役割を果たしているという基本的認識の下、推進されなければならない。
3 中小企業・小規模企業の振興は、国、県その他関係機関(以下「国等」という。)との連携を図りながら、町、事業者、地域経済団体等及び町民が協働して推進されなければならない。
(基本方針)
第4条 町は、第1条の目的を達成するため、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を講ずるものとする。
(1) 経営の安定及び革新並びに経営基盤の整備を図ること。
(2) 人材確保及び育成並びに雇用の安定を図ること。
(3) 新事業の創出及び創業の促進を図ること。
(4) 町の観光資源を始めとする地域資源を整備・活用し、町の魅力を島内外に広く発信する事業活動の推進を図ること。
(5) 資金調達の円滑化を図ること。
(6) 事業者と関係機関との連携及び事業者相互の連携の促進を図ること。
(7) 事業活動の推進に関する情報の提供及び発信を図ること。
(8) 学校教育における勤労観及び職業観の醸成を図ること。
(9) 前各号に揚げるもののほか、町長が必要と認める事項
(町の責務)
第5条 町は、事業者、地域経済団体等及び町民の理解と協力を得ながら、前条の基本方針に基づく、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。
2 町は、前項の規定に基づく施策の策定に当たっては、当該施策に中小企業者・小規模企業者、地域経済団体等及びその他関係機関の意見を反映させるため、当該施策に関する情報及び意見の交換の促進を図るものとする。
3 町は、第1項の施策を実施するため、必要な財政措置を講ずるとともに、国等との連携及び協力に努めるものとし、必要に応じて国等に対し施策の充実及び改善の要請を行うものとする。
4 町は、工事の発注、物品及び役務の調達に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業・小規模企業の受注機会の増大に努めるものとする。
(中小企業者・小規模企業者の役割)
第6条 中小企業者・小規模企業者は、経済的及び社会的環境変化に応じて、自主的に経営の改善及び向上に努めるものとする。
2 中小企業者・小規模企業者は、雇用の安定を図るとともに、人材の育成及び雇用環境の充実を図り、従業員が生きがい及び働きがいを得ることができる職場づくりに自主的に努めるものとする。
3 中小企業者・小規模企業者は、他の事業者、地域経済団体等との連携を深めるとともに、町内で生産、製造又は加工される産品(以下「町産品」という。)及び町内で提供される役務の利活用に努めるものとする。
4 中小企業者・小規模企業者は、基本方針に基づく町の施策に協力するよう努めるものとする。
5 中小企業者・小規模企業者は、地域社会を構成する一員として、地域社会との調和を図り、安心して暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第7条 大企業者は、中小企業・小規模企業の振興が町の経済活動の発展に重要な役割を果たすことを認識し、中小企業者・小規模企業者との連携を図るとともに、町が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(地域経済団体等の役割)
第8条 地域経済団体等は、中小企業・小規模企業の経営の向上及び改善の支援に積極的に取り組むとともに、町が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(町民の理解と協力)
第9条 町民は、中小企業・小規模企業の振興が地域経済の基盤形成と雇用環境の整備等、町民生活の向上において重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業・小規模企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
2 町民は、町産品の購買及び町内で提供される役務の利用に努めるものとする。
(施策の実施状況の検証・公表)
第10条 町長は、毎年度、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施状況を検証し、公表するものとする。
2 町長は、前項の検証に当たっては、中小企業者、小規模企業者、地域経済団体等その他関係機関の意見を聴くものとする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、平成29年4月1日から施行する。