○隠岐の島町立学校教職員等のハラスメントの防止等に関する要綱
平成24年6月14日
教育委員会告示第4号
(趣旨)
第1条 この告示は、人事行政の公正の確保、教職員等の利益の保護及び教職員等の能力の発揮のため、男女共に働きやすい職場環境を確立することを目的として、ハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に迅速かつ適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定めるものとする。
(1) ハラスメント セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント等ハラスメントの総称
(2) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び教職員等が他の教職員等を不快にさせる職場外における性的な言動
(3) パワー・ハラスメント 職務上の権限や地位等を背景に、業務や指導などの適正なレベルを超えて、他の教職員等の人格や尊厳を傷つけるような言動
(4) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントのため教職員等の勤務環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して教職員等がその勤務条件につき不利益を受けること。
(教職員等の責務)
第3条 教職員等は、「ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項等についての指針」(別紙1)に従い、ハラスメントをしないように注意しなければならない。
2 校長は、教職員等がその能率を十分に発揮できるような勤務環境を確保するため、ハラスメントの防止及び排除に努めるよう教職員等に指導するとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。
(研修等)
第4条 校長は、教職員等に対し、第3条第1項の指針の周知徹底を図るとともに、ハラスメントの防止等に関して必要な研修等を実施するものとする。
(苦情相談)
第5条 校長は、校内に複数の相談員(原則として女性、男性各1名以上を含むこと。)を配置し、教職員等に周知しなければならない。
2 教職員等は、相談員のほか、教育長をはじめとする教育委員会職員に対して苦情相談をすることができる。
(苦情相談への対応)
第6条 相談員等は、教職員等から苦情相談を受けたときは、事実関係の確認、相談者に対する助言、関係者に対する指導及び必要な調整を行うなど、当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めるものとする。
2 前項の場合において、相談員等は、「ハラスメントに関する苦情相談への対応についての指針」(別紙2)に十分留意しなければならない。
3 校長は、苦情相談を行った教職員等、事実関係の確認に協力した教職員等、教職員等に指導等を行った相談員が、職場において不利益を受けることがないよう十分配慮しなければならない。
(体制の整備)
第7条 校長は、研修等の計画・実施や苦情相談への対応について、相談員と連絡調整等を行うため、定期的な会議の開催又は組識の設置など、必要な体制の整備を図るものとする。
附則
この告示は、公布の日から施行する。
別紙1(第3条関係)
ハラスメントをなくすために教職員等が認識すべき事項についての指針
第1 ハラスメントをしないようにするために教職員等が認識すべき事項
1 意識の重要性
ハラスメントをしないようにするためには、教職員等の一人一人が、次の事項の重要性について十分認識しなければならない。
(1) お互いの人格を尊重しあうこと。
(2) お互いが大切なパートナーであるという意識を持つこと。
(3) 性別により差別しようとする意識をなくすこと。
2 基本的な心構え教職員等は、ハラスメントに関する次の事項について十分認識しなければならない。
(1) ハラスメントは、人によって受け止め方が異なるので、受け止める相手の立場に立って判断すること。
具体的には、次の点について注意する必要がある。
① セクシュアル・ハラスメント
ア 性に関する言動に対する受け止め方には個人間や男女間で差があり、親しさを表すつもりの言動であったとしても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があること。
イ 不快に感じるか否かには個人差があること。
ウ この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしないこと。
エ 相手との良好な人間関係ができていると勝手な思い込みをしないこと。
② パワー・ハラスメント
ア 指導のつもりであったとしても、適正レベルを超えると相手を傷つけてしまう場合があること。
イ 「口が悪いのは愛情の裏返し」、「毒舌も個性」などと思い込まないこと。
ウ 相手との良好な人間関係が形成されているので、「この程度でパワー・ハラスメントと思われるわけがない。」などと勝手に思い込まないこと。
(2) 良好な人間関係を構築するためには相手の人格の尊重と相手方の立場に立った行動をとることが重要であり、職務上の権限や地位等を利用して人格的な支配を行ったり、心理的圧迫や身体的苦痛を与えたりしてはならないこと。
(3) 相手が拒否し、又は嫌がっていることがわかった場合には、同じ言動を決して繰り返さないこと。
(4) ハラスメントを受けた者が、職場の人間関係等を考え、拒否や抗議をすることができないことなど、相手からいつも明確な意思表示があるとは限らないことを十分認識すること。
(5) 職場におけるハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。
例えば、職場の人間関係がそのまま持続する歓迎会の酒席のような場において、教職員等が他の教職員等にハラスメントを行うことは、職場の人間関係を損ない勤務環境を害するおそれがあることから、勤務時間外におけるハラスメントについても十分注意する必要がある。
(6) 教職員等間のハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。
行政サービスの相手方など教職員等がその職務に従事する際に接することとなる教職員等以外の者及び委託契約又は派遣契約により同じ職場で勤務する者との関係にも注意しなければならない。
(7) パワー・ハラスメントについては、上司から部下、又は同僚同士だけでなく、部下から上司の場合も起こりうることに注意すること。
3 ハラスメントになり得る言動ハラスメントになり得る言動として、例えば、次のようなものがある。
(1) セクシュアル・ハラスメント
① 職場内外で起きやすいもの
ア 性的な内容の発言関係
(ア) 性的な欲求、関心に基づくもの
a スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。
b 聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと。
c 体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」、「もう更年期か」などと言うこと。
d 性的な経験や性生活について質問すること。
e 性的な噂を立てたり、性的なからかいの対象とすること。
(イ) 固定的な性別役割分担意識等に基づくもの
a 「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」、「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言すること。
b 「男の子、女の子」、「僕、坊や、お嬢さん」、「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること。
イ 性的な行動関係
(ア) 性的な欲求、関心に基づくもの
a ヌードポスター等を職場に貼ること。
b 雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり読んだりすること。
c 身体を執拗に眺め回すこと。
d 食事やデートにしつこく誘うこと。
e 性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送ること。
f 身体に不必要に接触すること。
(イ) 固定的な性別役割分担意識等に基づくもの
女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。
② 主に職場外において起こるもの
ア 性的な欲求、関心に基づくもの
性的な関係を強要すること。
イ 固定的な性別役割分担意識等に基づくもの
a カラオケでのデュエットを強要すること。
b 酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やダンス等を強要すること。
(2) パワー・ハラスメント
パワー・ハラスメントは、業務上の命令又は指導とどう線引きするのか難しい側面を持っている。指導から始まったものが、いつの間にかエスカレートしてパワー・ハラスメントになってしまうケースがあるので、その違いを認識する必要がある。例えば、下記に例示するような言動は十分にパワー・ハラスメントになり得るので注意すること。
① 「役立たず」「もう来なくていい」「私に恥をかかせる気か」「お前のようなバカはいない」など、感情にまかせたような発言や、大勢の前で個人名を挙げて非難するなど、個人の人格や尊厳を傷つけること。
② 「何をやらせても駄目だ」など具体的な指示をすることなく、仕事や能力を否定すること。
③ 飲み会等の親睦行事に強制的に参加させたり、業務とは関係のない個人的な雑用を強要すること。
4 懲戒処分・法的罰則ハラスメントの態様等によっては信用失墜行為、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行などに該当して、懲戒処分に付されることがある。
さらに、加害者には、不法行為(民法709条)、名誉毀損(民法723条)、脅迫(刑法222条)、侮辱(刑法231条)などの法的罰則が適用され、損害賠償責任を負う場合がある。
第2 職場の構成員として良好な勤務環境を確保するために認識すべき事項
勤務環境はその構成員である教職員等の協力の下に形成される部分が大きいことから、ハラスメントにより勤務環境が害されることを防ぐため、教職員等は、次の事項について、積極的に意を用いるように努めなければならない。
1 教職員等相互が相手の人格を尊重し、相手方の立場に立った行動をとること。
2 職場内のハラスメントについて問題提起する教職員等をいわゆるトラブルメーカーと見たり、ハラスメントに関する問題を当事者間の個人的な問題として片づけないこと。
職場におけるミーティングを活用することなどにより解決することができる問題については、問題提起を契機として、良好な勤務環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心がけることが必要である。
3 職場からハラスメントに関する問題の加害者や被害者を出さないようにするために、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。
具体的には、次の事項について十分留意して必要な行動をとる必要がある。
(1) セクシュアル・ハラスメント
① セクシュアル・ハラスメントが見受けられる場合は、職場の同僚として注意を促すこと。
セクシュアル・ハラスメントを契機として、勤務環境に重大な悪影響が生じたりしないうちに、機会をとらえて職場の同僚として注意を促すなどの対応をとることが必要である。
② 被害を受けていることを見聞きした場合には、声をかけて相談に乗ること。
被害者は「恥ずかしい」、「トラブルメーカーとのレッテルを貼られたくない」などとの考えから、他の人に対する相談をためらうことがある。被害を深刻にしないように、気が付いたことがあれば、声をかけて気軽に相談に乗ることも大切である。
(2) パワー・ハラスメント
① 監督者は、教職員等間のコミュニケーションが円滑に行われているか、常に目を配ること。
職場での人とのつながりの希薄化や職場の余裕がなくなった場合などに、パワー・ハラスメントを誘発させる危険が増大するため、日頃から目を配る必要がある。
② 被害を受けていることを見聞きした場合は、セクシュアル・ハラスメントの対応と同様に声をかけて相談に乗ること。
4 職場においてハラスメントがある場合には、第三者として気持ちよく勤務できる環境づくりをする上で、上司等に相談するなどの方法をとることをためらわないこと。
第3 ハラスメントに起因する問題が生じた場合において教職員等に望まれる事項
1 基本的な心構え
教職員等は、ハラスメントを受けた場合にその被害を深刻にしないために、次の事項について認識しておくことが望まれる。
(1) セクシュアル・ハラスメント
① 一人で我慢しているだけでは、問題は解決しないこと。
セクシュアル・ハラスメントを無視したり、受け流しているだけでは、必ずしも状況は改善されないということをまず認識することが大切である。
② セクシュアル・ハラスメントに対する行動をためらわないこと。
「トラブルメーカーというレッテルを貼られたくない」、「恥ずかしい」などと考えがちだが、被害を深刻なものにしない、他に被害者をつくらない、さらにはセクシュアル・ハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく良い勤務環境の形成に重要であるとの考えに立って、勇気を出して行動することが求められる。
(2) パワー・ハラスメント
多くの場合、一人で解決を図ることは困難であると考えられることから、上司や同僚に相談の上、状況の改善に向けた対応を図ること。
2 ハラスメントによる被害を受けたと思うときに望まれる対応教職員等はハラスメントを受けた場合、次のような行動をとるよう努めることが望まれる。
(1) セクシュアル・ハラスメント
① 嫌なことは相手に対して明確に意思表示をすること。
セクシュアル・ハラスメントに対しては毅然とした態度をとること、すなわち、はっきりと自分の意思を相手に伝えることが重要である。直接相手に言いにくい場合には、手紙等の手段をとるという方法もある。
② 信頼できる人に相談すること。
まず、職場の同僚、知人等身近な信頼できる人や相談員等に相談することが大切である。なお、相談するに当たっては、セクシュアル・ハラスメントが発生した日時、内容等について記録しておくことが望ましい。
(2) パワー・ハラスメント
① 信頼できる人に相談すること。
セクシュアル・ハラスメントと同様に、まずは、職場の上司や同僚、知人等身近な信頼できる人や相談員等に相談することが大切である。
② 必ずしもパワー・ハラスメントではない場合もあることから、自分自身の身に何が起きているのか冷静に把握した上で、相談員等に相談しながら、相手に対して自分の意思を示すなどの対応をとること。なお、相談するに当たっては、ハラスメントを受けたと思われる日時、内容等について記録しておくことが望ましい。
(3) ハラスメントにより、メンタルヘルス不全に陥ることが多いことから、早めにカウンセラーに相談したり、心療内科、精神科など専門医の診察を受けることを躊躇しないこと。
別紙2(第6条関係)
ハラスメントに関する苦情相談への対応についての指針
第1 基本的な心構え
教職員等からの苦情相談に対応するに当たっては、相談員等は次の事項に留意する必要がある。
1 被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。
2 事態を悪化させないために、迅速な対応を心がけること。
3 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知り得た秘密を厳守すること。
第2 苦情相談の事務の進め方
1 苦情相談を受ける際の体制等
(1) 苦情相談の対応は、基本的に相談員等が行うこと。
(2) 実際に苦情相談を受けるに当たっては、その内容を相談員等以外の者に見聞きされないよう周りから遮断した場所で行うこと。
(3) 相談員等は、苦情相談に適切に対応するために、相互に連携し、協力すること。
(4) 問題処理に際し、加害者とされる者又は第三者からの事実関係等の聴取及び加害者への指導、謝罪のあっせん等については、基本的に所属長(所属に置かれる相談員を含む。)において行うこと。
2 相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項苦情相談を行う教職員等(以下「相談者」という。)から事実関係等を聴取するに当たっては、次の事項に留意する必要がある。
(1) 相談者の求めるものを把握すること。
将来の言動の抑止等、今後も発生が見込まれる言動への対応を求めるものであるのか、又は喪失した利益の回復、謝罪要求等過去にあった言動に対する対応を求めるものであるのかについて把握する。
(2) どの程度の時間的な余裕があるのかについて把握すること。
相談者の心身の状態等に鑑み、苦情相談への対応に当たりどの程度の時間的な余裕があるのかを把握する。
(3) 相談者の主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聞くこと。
特に相談者が被害者の場合、ハラスメントを受けた心理的な影響から必ずしも理路整然と話すとは限らない。むしろ脱線することも十分想定されるが、事実関係を把握することは極めて重要であるので、忍耐強く聴くよう努める。
具体的な心構えとしては、次の点に留意する。
① 相談者から無理に聞き出すことがないよう、相手のペースを大切にすること。
② 自己の価値観は脇に置き、相談者の考えを尊重し、結論を急がないこと。
③ 耳で「聞く」のではなく、共感を示しながら心で「聴く」こと。ただし、事態を客観的に見ていく立場は持ち続けること。
(4) 事実関係について、次の事項を把握すること。
① 当事者(被害者及び加害者とされる教職員等)間の関係
② 問題とされる言動が、いつ、どこで、どのように行われたか。
③ 相談者は、加害者とされる教職員等に対してどのような対応をとったか。
④ 監督者等に対する相談を行っているか。
なお、これらの事実を確認する場合、相談者が主張する内容については、当事者のみが知り得るものか、又は他に目撃者はいるのかを把握する。
(5) 聴取した事実関係等を相談者に確認すること。
聞き間違えの修正並びに聞き漏らした事項及び言い忘れた事項の補充ができるので、聴取事項を書面で示したり、復唱するなどして相談者に確認する。
(6) 聴取した事実関係等については、必ず記録にとっておくこと。
3 加害者とされる教職員等からの事実関係等の聴取
(1) 原則として、加害者とされる教職員等から事実関係等を聴取する必要がある。ただし、職場内で行われた比較的軽微なハラスメントの場合で、対応に時間的な余裕があると判断できる場合などは、監督者の観察、指導による対応が適当な場合も考えられるので、その都度適切な方法を選択して対応する。
(2) 加害者とされる者から事実関係等を聴取する場合には、加害者とされる者に対して十分な弁明の機会を与える。
(3) 加害者とされる者から事実関係等を聴取するに当たっては、その主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聞くなど、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。
4 第三者からの事実関係等の聴取職場内で行われたとされるハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認める場合などは、第三者から事実関係等を聴取することも必要である。
この場合、情報の漏洩は、事態の深刻化を招く恐れもあることから、守秘義務について十分説明した上、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。
5 相談者に対する説明苦情相談に関し、問題処理に当たっては加害者とされる者からの事実関係の聴取が必要となることなどの対応方針について、相談者に事前に説明する。また、具体的にとられた対応についても、相談者に説明する。
6 その他被害者と加害者とされる者の所属が異なる等の理由により所属長において問題を処理し難い場合は、教育委員会総務学校教育課長に協議するものとする。
第3 問題処理のための具体的な対応例
相談員等が、苦情相談に対応するに当たっては、ハラスメントに関する知識を持ち、個々の事例に即して柔軟に対応することが基本となることは言うまでもないが、具体的には、事例に応じて次のような対処が方策として考えられる。
1 セクシュアル・ハラスメント
(1) セクシュアル・ハラスメントを受けたとする教職員等からの苦情相談
① 被害者に対して助言、指導する。
(例)
職場の同僚から好意を抱かれ食事やデートにしつこく誘われるが、相談者がそれを苦痛に感じている場合については、相談員等は、相談者自身が相手の教職員等に対して明確に意思表示をするよう助言、指導する。
② 教職員等の監督者等に対し、加害者とされる教職員等に指導するよう要請する。
(例)
職場内で行われるセクシュアル・ハラスメントのうち、その対応に時間的余裕があると判断されるものについては、所属長又は所属に置かれる相談員は、監督者等に状況を観察させ、加害者とされる教職員等の言動のうち問題があると認められるものを適宜注意させる。
③ 加害者に対して直接注意する。
(例)
性的なからかいの対象となるなどの行為を頻繁に行うことが問題にされている場合において、加害者とされる教職員等は親しみの表現として発言等を行っており、それがセクシュアル・ハラスメントに該当するかもしれないとの意識がない場合には、所属長又は所属に置かれる相談員が加害者とされる教職員等に対し、直接注意する。
④ 当事者間のあっせんを行う。
(例)
被害者がセクシュアル・ハラスメントを行った加害者に謝罪を求めている場合において、加害者も自らの言動について反省しているときには、所属長又は所属に置かれる相談員は、被害者の要求を加害者に伝え、加害者に対して謝罪を促すようあっせんする。
⑤ 人事上の措置が必要な場合は、教育委員会総務学校教育課と連携をとる。
(例)
セクシュアル・ハラスメントの内容がかなり深刻な場合で被害者と加害者とを同じ職場で勤務させることが適当でないと判断される場合などには、相談員等は、教育委員会総務学校教育課との十分な連携の下に当事者の人事異動等の措置をとることも必要となる。
(2) セクシュアル・ハラスメントであるとの指摘を受けたが納得がいかない旨の相談
(例)
昼休みに自席で週刊誌のグラビアのヌード写真を周囲の目に触れるように眺めていたところ、隣に座っている同僚の女性教職員等から、他の教職員等の目に触れるのはセクシュアル・ハラスメントであるとの指摘を受けたが、納得がいかない旨の相談があった場合には、相談員等は、相談者に対し、周囲の教職員等が不快に感じる場合は、そのような行動をやめるよう注意をする。
(3) 第三者からの苦情相談
(例)
同僚の女性教職員等がその上司から性的なからかいを日常的に繰り返し受けているのを見て不快に思う教職員等から相談があった場合には、所属長又は所属に置かれる相談員は、同僚の女性教職員等及びその上司から事情を聴いた上で、周囲の職員を不快にさせている事実が認められる場合にはその上司に対して注意をする。
(例)
非常勤教職員等に執拗につきまとったり、その身体に不必要に触る教職員等がいるが、非常勤教職員等である本人は、立場が弱いため苦情を申し出ることをしないような場合について第三者から相談があったときには、所属長又は所属に置かれる相談員は、本人から事情を聴き、事実が認められる場合には、本人の意向を踏まえた上で、加害者とされる教職員等から事情を聴いた上で、注意する。
2 パワー・ハラスメント
(1) パワー・ハラスメントを受けたとされる教職員等からの苦情相談
① 相談員等が状況を観察し、必要に応じて加害者とされる教職員等を指導する。
(例)
職場内で行われるパワー・ハラスメントのうち、その対応に時間的な余裕があると判断されるものについては、相談員等は加害者とされる教職員等の言動を観察し、問題があると認められる場合は適宜指導等を行う。
② 加害者に対して直ちに指導する。
(例)
パワー・ハラスメントに該当する行為又はパワー・ハラスメントに近い行為を頻繁に行うことが問題にされているにもかかわらず、加害者とされる教職員等がパワー・ハラスメントであるとの意識がない場合には、所属長は、当該職員に対し、その行動がパワー・ハラスメントに該当することを指摘した上で指導する。その際には、逆にパワー・ハラスメントに拍車がかかることのないよう注意する。
③ 人事上の措置が必要な場合は、教育委員会総務学校教育課と連携をとる。
(例)
パワー・ハラスメントの内容がかなり深刻な場合などで、被害者と加害者を同じ職場で勤務させることが適当でないと判断されるなど、人事上の措置が必要と考えられる場合は、所属長は、教育委員会総務学校教育課と連携し対応する。
(2) 第三者からの苦情相談
(例)
パワー・ハラスメントと思われる行為を日常的に繰り返し受けている教職員等を見た、又は、そういう教職員等がいることを聞いた教職員等から相談があった場合は、相談員等は、加害者とされる教職員等の言動を観察したり、被害者とされる教職員等から事情を聴くなど対応した上で、その状態がパワー・ハラスメントであると認められる場合には加害者とされる教職員等に対し指導等を行う。